マツダ、新戦略「ライトアセット戦略」で電動化を加速

この記事は約6分で読めます。
Ads by Google

マツダは、電動化のマルチソリューションを実現するための新たな「ライトアセット戦略」を発表しました。協業や生産効率向上により、資産を最大限に活用しながら、低コストで競争力のある電動車開発を進める方針です。

マツダ、新戦略「ライトアセット戦略」で電動化を加速

電動化を支える「ライトアセット戦略」とは?

マツダは、2030年までを「電動化の黎明期」と位置づけ、環境規制や市場の変化に柔軟に対応するため、電動化技術の開発を加速しています。その実行戦略が今回発表された「ライトアセット戦略」です。

この戦略では、既存資産の活用と協業を推進し、開発・生産の効率を高めることで、コストを抑えつつ電動車の市場投入をスムーズに進めることを目指しています。

「ライトアセット戦略」の具体的な効果

  • 電動化投資の最適化
    インフレの影響で2兆円規模となる見込みだった投資額を、協業を活用することで約1.5兆円に抑制。特に電池投資は、自社調達から協業に切り替えることで、約半分に削減する見通し。
  • 開発・生産効率の向上
    • バッテリーEVの開発投資を40%削減、開発工数を50%削減
    • バッテリーEVとエンジン車を混流生産することで、専用工場の新設を回避し、初期設備投資を85%低減
    • 量産準備期間を80%短縮し、より早く市場投入可能に

進化する「マツダ ものづくり革新2.0」

マツダは、これまでも独自の開発・生産プロセス革新「マツダ ものづくり革新1.0」を展開してきましたが、電動化時代に対応するため、さらなる進化を遂げた「マツダ ものづくり革新2.0」を導入します。

この新たな取り組みでは、AIを活用した開発の効率化や、無人搬送車(AGV)を導入したフレキシブルな生産体制を確立。バッテリーEVとエンジン車の混流生産により、変化する市場ニーズにも迅速に対応できるようになります。

次世代技術「SKYACTIV-Z」とバッテリーEVの展開

SKYACTIV-Zとは? マツダの次世代エンジン戦略



「SKYACTIV-Z」は、マツダが開発した2.5L直列4気筒ガソリンエンジンで、環境規制の強化に対応しながら、走る歓びを提供するための最新技術を搭載しています。
主な特徴

  • 排気量:2.5L
  • エンジン形式:直列4気筒ガソリンエンジン
  • 対応規制:ユーロ7、米国LEV4、Tier4
  • 特徴:高燃費・高出力・低排出ガスを実現
  • 搭載モデル:2027年に次期「CX-5」から導入予定​

このエンジンは、ハイブリッドシステムと組み合わせることで、より高い燃費性能とパフォーマンスを発揮します。また、マツダ独自の燃焼技術を活用し、厳しい排ガス規制に適合しながらも、従来のエンジンと同等の出力を維持します。

燃焼技術の革新—「究極の燃焼」に向けた取り組み


SKYACTIV-Zは、マツダがこれまで培ってきた「SKYACTIV-G」「SKYACTIV-X」の技術を進化させ、さらに高効率な燃焼技術を実現しました。

  1. スーパーリーンバーン(希釈燃焼)
    • 空燃比を最適化し、燃焼効率を向上
    • 低燃費と高出力を両立

  2. 遮熱技術の強化
    • 燃焼室の熱損失を最小限に抑え、熱効率を向上
    • 高圧縮比によるパフォーマンス向上

  3. 従来の2.5Lエンジンのハードウェアを活用
    • 既存技術を活かしながら、低投資で開発​

これにより、SKYACTIV-Zは従来のエンジンと比べて熱効率の高い燃焼を実現し、燃費性能の向上を達成しています。

電動化時代に適応する「SKYACTIV-Z」の役割

EV化が進む中でも、マツダは「マルチソリューション戦略」を掲げ、さまざまなパワートレインを提供する方針です。SKYACTIV-Zは、その中心となるエンジンとして、ハイブリッドやプラグインハイブリッド(PHEV)との組み合わせも視野に入れています。

また、同技術を直列6気筒エンジンやロータリーエンジンにも展開する計画があり、今後のマツダ車全体の基盤となる可能性があります​。

「SKYACTIV-Z」は、環境規制の厳格化に対応しつつ、走る歓びを維持するために開発されたエンジンです。2027年の次期CX-5への搭載を皮切りに、今後のマツダ車に順次展開される予定です。

燃費・走行性能・環境性能のバランスを追求した「SKYACTIV-Z」が、マツダのモビリティの未来をどのように変えていくのか、注目です。

マツダのEV戦略:「意志あるフォロワー」としての柔軟な対応

マツダは、世界各国で異なるEV市場の進展に適応するため、「意志あるフォロワー」戦略を掲げています。地域ごとに異なる電動化の進展に対応しながら、2027年には自社開発のバッテリーEVを市場に投入する計画です​。

この戦略のもと、EVの導入を段階的に進める3つのフェーズを設定しています。

  • フェーズ1(2022-2024年):協業を活用し、長安マツダと共同開発したEVを導入
  • フェーズ2(2025-2027年):EV専用プラットフォームを採用し、マツダ独自のEVを展開
  • フェーズ3(2028-2030年):EV市場の成長に合わせ、さらなる電動化モデルを投入。長安マツダとの協業モデル第3弾、第4弾を検討

この柔軟なアプローチにより、EV市場の変化に迅速に対応できる体制を構築しています​。

EV専用プラットフォームで高い柔軟性を実現


マツダが開発するEVは、新たに設計されたEV専用プラットフォームを採用。このプラットフォームの最大の特徴は、どのような電池タイプにも対応できる高い柔軟性です​。

EV専用プラットフォームの特徴
  1. さまざまな電池タイプを搭載可能
    • 進化するバッテリー技術に適応し、将来的な技術革新にも対応できる設計。

  2. 複数の車型に展開可能
    • SUV、セダン、クロスオーバーなど、さまざまなモデルに応用できるプラットフォーム設計。

  3. 効率的な開発・生産プロセス
    • AIを活用したモデルベース開発を採用し、設計・試作段階の効率化を実現。

このEV専用プラットフォームにより、開発工数を50%削減、開発投資を40%削減することが可能になり、よりスピーディな市場投入が可能になります。

効率的な生産体制でEVの競争力を向上

マツダは、EV専用工場を新設するのではなく、既存の生産ラインを活用した「混流生産」を採用。これにより、

  • 初期設備投資を85%削減
  • 量産準備期間を80%短縮

と、大幅なコスト削減と生産効率の向上を実現しています​。

また、無人搬送車(AGV)を導入し、EVとエンジン車の生産ラインを統合することで、需要変動にも柔軟に対応できる生産体制を整えています​。

持続可能な成長を目指して


マツダは、自動車業界が大きな変革期を迎える中、持続可能な技術開発と経営の柔軟性を両立させながら、「走る歓び」を次世代に適応させていきます。「ライトアセット戦略」によって、低投資で高い資産効率を実現しながら、環境性能・走行性能・経済性を兼ね備えた車づくりを推進していきます。

 
MAZDA NEWSROOMマツダ、電動化のマルチソリューションを具現化する「ライトアセット戦略」を公表|ニュースリリース