マツダは、省スペース化と操作性を両立させる車両用操作装置に関する特許を取得しました。本発明は、誤操作を避けつつ、運転制御と車載機器操作を効率的に行える構造が特徴です。
マツダ、車両用操作装置の特許を取得
特許7738821 車両用操作装置
背景
自動車のシフトレバーやパーキングブレーキは、従来は機械的なリンクで構成されていましたが、近年は電子制御化(バイワイヤ化)が進んでいます。また、オーディオやナビといった車載機器は、ディスプレイとコマンダノブで操作する方式が一般的になり、車内スペースの有効活用が求められていました。
課題
しかし、ディスプレイを見ながらタッチ操作でシフトを切り替える方式では、走行中に運転の妨げとなる恐れがあります。一方で、コマンダノブに操作を集約すると、省スペース化には有効ですが、ブラインド操作時に誤操作が生じやすい課題がありました。省スペース化と誤操作防止を両立する解決策が必要でした。
解決手段
マツダの発明では、センタコンソールから前方に突出する操作部を設け、上下に分離した入力系を配置しました。下面には駆動や制動を制御する入力部を、上面には車載機器操作用の入力部を配置し、それぞれ異なる操作形態で扱えるようにしました。圧力センサや静電容量センサを組み合わせることで、偶発的な接触による誤操作を防ぎつつ、ブラインド操作でも直感的に使える構造としています。
効果
この構造により、運転制御系と車載機器操作系を単一のデバイスに統合しながら、誤操作を確実に回避できます。車室内の省スペース化が進むと同時に、直感的で安全な操作性を実現。安全性・快適性・デザイン性を兼ね備えた操作装置として、次世代コックピット設計に活用される可能性があります。
特許7738821 | 知財ポータル「IP Force」(車両用操作装置)
今回の特許は、マツダらしく「誤操作を防ぎつつ直感的に操作できる」仕組みを追求したもので、まさに人馬一体思想の延長線上にある発明といえます。ところが皮肉なことに、最新の新型CX-5ではコマンダーコントロールが廃止され、タッチパネル主体の操作系へ移行してしまいました。
マツダ自身が特許で課題視した「走行中にディスプレイを注視するリスク」を、逆に強めてしまったようにも見えます。合理性や時代の流れといえばそれまでですが、長年のファンからすれば「マツダらしさ」との距離を感じざるを得ません。特許文献に込められた思想と、実際の新型モデルとのギャップは、今後のマツダのインテリア戦略を考える上で興味深い対比となりそうです。