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マツダが2023年に発表したロータリー搭載スポーツコンセプト「ICONIC SP」。市販化を期待する声が高まる一方で、開発費の高騰が大きな壁となっているようです。
EVコストが壁に。MAZDA ICONIC SPの量産化は厳しい見通しに
ICONIC SPは“実現可能”だが、問題は財務面
英AUTOCARは、マツダが「ICONIC SP」の市販化をめぐって慎重な判断を下していると報じました。
この2シータークーペは、ツインロータリーエンジンを発電機として搭載し、EVとして走行するという独自の構成を採用しています。2023年のジャパンモビリティショーで初披露され、「市販を視野に入れて設計された」とデザイン責任者の中山雅史氏も語っていました。
しかし同誌によると、マツダは現在2027年投入を目標に専用EVアーキテクチャを開発中であり、そのコスト負担が増大しているといいます。
マツダの執行役員で技術担当の梅下隆一CTOは「技術的には実現可能だが、財務面が課題だ」と述べ、市販化が容易ではない現実を明かしました。
電動化投資を約25億ポンド削減
マツダは、EV普及の伸び悩みを背景に、電動化投資を当初計画より約25億ポンド(約4,700億円)削減したとされています。
梅下氏はインタビューの中で「マツダは小さなプレーヤー(Small Player)である」と述べ、限られた資源を有効に活かすための投資判断が欠かせないと説明しました。
この発言からは、同社が全方位的なEV開発を避け、慎重に優先順位をつけながら進めている姿勢がうかがえます。ICONIC SPは象徴的な存在である一方、収益面での裏付けを持たない“夢のクルマ”として位置づけられつつあるようです。
ロータリー技術は継続開発中
一方で、ロータリーエンジン技術そのものは見捨てられていません。
マツダは、約510psを発生するプラグインハイブリッド用パワートレインを開発しており、これを「VISION X-COUPE」に搭載する構想を持っているとのことです。
梅下氏は「ロータリーを発電機ではなく駆動用エンジンとして活用できるようになるまで、あと2〜3年の開発期間が必要」と語り、将来的な実用化に向けた継続的な取り組みを示しました。
マツダの“走る歓び”をどうEV時代に活かすか
ICONIC SPの量産化は現時点で保留のようですが、マツダが目指す「走る歓び」はまだ失われていません。
新しいEVアーキテクチャの開発と並行して、ロータリー技術やスポーツマインドをどのように再構築していくのか──。
マツダがEV時代における独自のスポーツカー像を描き出せるのか、今後の動向に注目です。

