ボタン削減の裏にある“もうひとつの現実”、 新型CX-5のHMI刷新を評価軸から読み解く

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新型CX-5で採用されたタッチスクリーン中心の操作系。物理ボタンの大幅削減は、マツダらしい直感的な操作性を犠牲にしたようにも見えますが、その背景にはユーザー調査と評価制度の変化という現実がありました。

ボタン削減の裏にある“もうひとつの現実”、 新型CX-5のHMI刷新を評価軸から読み解く


autoblogの記事をベースに少し考えてみます。

ユーザー調査が示す意外な傾向

今回のHMI刷新は、マツダが社内調査をもとに「多くのユーザーが求めている」と判断した結果だと説明されています。
たしかに、視線移動を抑えたステアリングスイッチや音声認識の進化により、物理スイッチに頼らない新たな使い方が広がっているのも事実です。

一方、アメリカでの調査データでは、車内操作に音声を使っている人は全体の17%程度。つまり多くの人がまだ、直接的で触感のある操作を好んでいるとも読み取れます。ユーザーが求める操作感は、実はかなり幅があるのかもしれません。

評価との関係、“星の数”が変化を迫る?

見逃せないのが、2026年から導入予定のEuro NCAPの評価基準変更です。
欧州では、「空調やハザードといった基本操作に物理スイッチがない車両は、安全評価で減点対象になる可能性がある」との見方が報じられています「ハザードやウインカーといった安全操作に物理スイッチがない車両は、Euro NCAPで減点対象になる可能性があります。一方で空調などの基本操作も、操作性によっては評価に影響を与える」との見方も出ています。

新型CX-5では最低限のスイッチ類は残されているとはいえ、これまで高評価を得てきたマツダの車両が次回以降のテストでどう評価されるのか、注目が集まります。

特に高い安全評価が購買動機に直結しやすい欧州市場では、このポイントは軽視できないでしょう。

ライバル各社との足並み

タッチ操作中心のUIへの移行は、マツダだけでなくVolvoやGM、Hondaなども採用しはじめています。
さらに多くのブランドがGoogleベースのインフォテインメントシステムを導入するなか、マツダも「時流に合った判断」を下したと言える面もあります。

ただ、近年はあえて物理スイッチに回帰するメーカーも出てきており、方向性は必ずしも一方通行ではありません。
その意味で、新型CX-5は“いまのマツダが選んだ最善”を体現しているけれど、それが“すべての人にとって最善”かどうかは別の話、という距離感が必要なのかもしれません。

今後への静かな注目

マツダは、ユーザーの意見や市場の反応に対して柔軟に対応してきた歴史があります。
今回のHMI刷新も、将来的にはフィードバックを受けて、「タッチと物理のバランスを再調整する」可能性も残されています。

たとえば次期Mazda3やCX-30で、どのような操作系が採用されるのか。その方向性が、今回のCX-5の選択が「ひとつの試み」だったのか、それとも「新たな基準」になるのかを示してくれるかもしれません。

まとめ

今回のCX-5での変化は、単に「便利か不便か」「好きか嫌いか」では語りきれない背景があります。
ユーザーの多様化と、安全・評価制度の変化。マツダが選んだこの道が、どのように受け入れられていくのか、数字と制度の“外の声”にも耳を傾けながら見守っていきたいところです。

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コメント

  1. ヒーユンジ より:

    私も次期CX5の運転席周りの写真や動画を見た時、受け入れられない気持ちでいっぱいでした。でもソフトウェア開発では、遅れをとってきたマツダですがそれではいけないと、おそらくトヨタとの協業にて開発してきた結果、スイッチを無くしたこの度のタッチパネル式大画面になったのではないかと思います。もしこの大画面が不評の場合、アテンザがマイナーチェンジ(年次改良)でダッシュボードを大幅に変更した様に、次期CX5も年次改良で変更される”かも”しれません。実際、ネットでは米国では、エアコン(空調)が物理スイッチでない事で不評だとか。私もメーターは、アナログで空調は物理スイッチの方が車らしくて良いと思っています。

  2. 沓澤勝利 より:

    ヒーユンジさんへ
    マツダとトヨタは、ほとんど協業していませんよ。24年初頭「車両制御システムの共同開発」で一度は合意したものの、その後マツダが一方的に「ECUはマツダ独自開発」と言ったモノだから、合意はご破算になりました。(これがAreneでした。)
    トヨタ自動車はデンソー、ウーブン・バイ・トヨタにより、既にAreneをほぼ完成させ、新型RAV4にADASとIVIに特化したファームウェアとして搭載しており、供与先として、スバル、スズキを挙げています。(マツダの名は無し)。AreneはECUを含めた統合開発環境でもあり、「ECUはマツダ独自」と言っている企業に供与しても意味がありません。これによりマツダは益々ソフトウェア開発スピードにおいて他社に差をつけられてしまいます。
    トヨタ自動車にとってマツダは百害あって一利なしの存在とまで言われています。
    今回のGoogle built-inの導入もトヨタに事前相談無しで行っており、トヨタ自動車内部ではマツダとの協業を見直すべきと言う声が大きくなっています。恐らく26年中には、何らかの発表があるでしょう。

  3. 無限 より:

    NCAPの評価基準変更では、ハザードは有るが空調はない様に思いますが、私の認識間違いでしょうか?
    私はタッチでもなんら問題ないので、すっきりした今のデザインが好きですね。