
新型CX-5でマツダは、HMIを大幅に刷新。物理ボタンの削減とタッチパネル中心の設計に踏み切った背景には、顧客の声があったというが、従来の方針からの転換にモヤモヤを感じずにはいられません。
なぜマツダはボタンを減らしたのか?新型CX-5のHMI刷新に見る顧客ニーズとのギャップ
「ボタンがないCX-5」誕生
2025年に欧州で初公開された新型CX-5。エクステリアは正統進化でありながら、インテリアは一気にモダン化。中でも注目を集めたのが、従来の物理スイッチやコマンダーを排除したHMIの刷新です。
これまでマツダが築いてきた「直感的で、ドライバーに優しい操作系」の印象を持つユーザーにとっては、戸惑いを覚える変化だったかもしれません。
マツダの説明:「それが顧客の声だった」
北米マツダの広報担当者 Tamara Mlynarczyk 氏によれば、今回のHMI刷新は顧客フィードバックに基づくものとのこと。
「使いやすさを優先しながら、安全運転哲学を維持する新しいHMIを開発しました。新型CX-5では、コマンダーからタッチスクリーンに切り替え、ステアリングから手を離さず操作できる設計を追求しています」
さらに、新型では以下のような新技術が取り入れられています:
- 音声認識による空調・ナビ・オーディオ操作
- ステアリングスイッチによる視線移動・注意分散の抑制
「直感的操作=タッチパネル」という認識が広がる中、よりスマートフォン的な操作感が求められている、という判断のようです。
しかし、従来の方針とは正反対では?
とはいえ、ここで引っかかるのは、かつてマツダ自身が掲げていたHMI哲学との食い違いです。
たとえば2019年、Mazda3の登場時に北米のHMI担当エンジニアであるMatthew Valbuena氏は、次のように述べていました:
「ドライバーがタッチスクリーンに手を伸ばすと、無意識にステアリングにトルクをかけてしまい、車線から外れることがある。だから我々は、あえてタッチ操作を排除したのです。」
この考え方は、Mazda3やCX-30、CX-5といった現行世代の車両に一貫して反映されてきました。それが今回、「タッチパネル中心」に大きく舵を切ったことには、やはり疑問を感じてしまいます。
音声操作やステアリング操作がすべてを解決する?
マツダは、音声認識やステアリングスイッチの進化により、物理ボタンがなくても安全性と快適性は確保されるとしています。
しかし、現時点でその操作系がどれほど正確で、ストレスなく使えるのかはまだ未知数です。
空調やオーディオといった、運転中でも頻繁に使う機能においては、物理ボタンのほうが信頼できるというのが、従来ユーザーとしての率直な感想です。
EV起点の流れとの関係
今回のCX-5に限らず、マツダは近年、中国市場向けのEZ-6やEZ-60といったEVモデルでも、タッチスクリーン中心のHMIにシフトしています。これらは長安汽車との合弁車両という事情がありますが、今回の新型CX-5は純マツダ開発のグローバルモデル。


それでもこの方向性を継承したことは、「マツダ全体の新方針」としてHMI刷新が進んでいる可能性を示唆しています。
まとめ
今回のCX-5のHMI刷新について、従来のマツダ車を愛用してきた立場から言えば、正直なところ「残念」という思いが先に立ちます。
物理ボタンの操作性、視線移動の少ないインターフェイス、安全への配慮――それらはマツダの美点のひとつだったはずです。
とはいえ、技術の進化がどこまで使いやすさをカバーしてくれるかは、今後の実車体験によって見えてくる部分もあります。
新しいCX-5が「マツダらしさ」をどう再解釈してくれるのか…。
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