マツダが、自動車の排ガスからCO₂を回収する新技術の開発を加速しています。バイオ燃料との組み合わせにより、走るほどCO₂を減らす「カーボンマイナス車」を目指し、今後レース車両での実証実験を予定しています。
マツダ、CO₂回収技術を本格開発へ「走るほど減らせる車」
CO₂回収で「走るほど環境に優しい」クルマを目指す
マツダは、排ガス中の二酸化炭素(CO₂)を走行中に回収する新たな技術の開発を本格化させています。年内には実際のレースでの実験も予定しており、カーボンニュートラルを超えた「カーボンネガティブ」の実現に向けた大きな一歩といえます。
仕組みと装置の構想
この技術は、CO₂を吸着する物質(ゼオライト)を用いて、排ガスから効率的にCO₂を分離・回収する仕組みです。吸着材に排ガスを通し、分離されたCO₂は真空ポンプでタンクに回収されます。排ガス温度が高すぎると吸着効率が落ちるため、冷却システムも搭載される見込みです。
スーパー耐久レースでの実験を予定
マツダは、5月末のスーパー耐久シリーズ(S耐)富士大会で、ゼオライトを用いた回収装置を搭載した小型車をイベント広場に展示し、来場者に体験を提供しました。11月の最終戦までには、実際の出場車に装置を搭載し、実走行での検証も始める予定です。
バイオ燃料との相乗効果で「排出ゼロ」超えへ
マツダが並行して研究を進めているバイオ燃料は、原料の微細藻類が成長時にCO₂を吸収するため、燃焼時のCO₂排出を相殺できるとされます。しかし、製造や物流の過程での排出は避けられず、完全なゼロとはいえません。そこで、CO₂回収技術が「マイナス排出」への鍵として注目されています。
「内燃機関の楽しさと環境性能の両立を」
マツダ技術研究所の原田雄司研究長は、「エンジン車の楽しさを保ちながら、環境にやさしい未来を実現したい」と語っています。内燃機関を前提にした技術開発を通じて、脱炭素社会に新たなアプローチを提案しようとしています。