マツダは、斜め前方からの衝突時に乗員の安全性を向上させる新たなエアバッグ技術の特許を出願した。この技術は、腹部と肩部を保護する新構造のエアバッグを採用し、衝突時の衝撃を軽減することを目的としている。
マツダ、斜め前方衝突時の安全性向上の特許を出願
特開2025-17519 車両およびエアバッグ装置
背景
自動車の安全技術としてエアバッグは重要な役割を果たしている。従来のサイドエアバッグは、主に側面衝突時の保護を目的としており、座席横のシートバックやドア内に設置されている。しかし、斜め前方からの衝突では乗員の体が前方へ移動し、ドアトリムやピラーなどに強く衝突する可能性がある。このような状況では、既存のエアバッグでは十分な保護ができない場合があり、新たな衝撃吸収技術の開発が求められていた。
課題
現在のサイドエアバッグは、主に横方向の衝撃を想定しているため、斜め前方からの衝撃に対する対応が不十分だった。特に、乗員の腹部や肩部が前方に移動し、ダッシュボードやドアの構造物と衝突するリスクが高まる。また、エアバッグの展開方向や膨張範囲が適切でない場合、十分な衝撃吸収効果を発揮できない。このため、斜め前方からの衝突時に乗員の体の動きを抑えつつ、適切な位置に展開するエアバッグが求められていた。
解決手段
この特許技術では、腹部と肩部を保護する二つの膨張部を持つエアバッグを採用している。衝突時、エアバッグは斜め前方方向に展開し、乗員の体に巻き付くように膨張する。腹部膨張部は、腹部の外側から前方部分を覆い、衝撃を和らげる。肩部膨張部は、肩とドアの間に展開し、前方移動を抑える構造になっている。さらに、単一のインフレータで両膨張部を展開し、ガスの流れを調整する絞り部を設けることで、安定したエアバッグ展開を実現している。
効果
この技術により、斜め前方からの衝突時に乗員の腹部や肩部がダッシュボードやドアトリムと直接衝突するリスクを軽減できる。エアバッグが腹部に巻き付くことで、衝撃を分散し、乗員の体の動きを適切に制御する。また、単一のインフレータを用いることで、装置の小型化や製造コストの削減にも貢献する。これにより、より安全かつ効率的な衝突対策を提供することが可能となる。