マツダは、ハイブリッド車両に搭載するエンジンの暖機制御技術に関する特許を出願しました。この技術により、運転者がエンジン音の変化による違和感を感じにくくすることを目指しています。
マツダ、ロータリーエンジンを有するハイブリッド車両のエンジン暖機制御に関する特許を出願
2024-134297 ハイブリッド車両のエンジン暖機制御装置
背景
従来のハイブリッド車両では、エンジンを作動させて排気ガスの浄化装置(触媒)を暖機する必要があります。しかし、車速に応じてエンジンの回転数を切り替える際、特に減速や加速を繰り返すシーンではエンジン回転数の頻繁な切り替えが発生し、運転者に違和感を与える可能性がありました。
課題
従来の触媒暖機制御装置では、減速や加速時にエンジン回転数が頻繁に切り替わるため、エンジン音の変化が激しくなり、運転者に不快感を与えることが課題でした。
解決手段
本発明のハイブリッド車両のエンジン暖機制御装置は、以下のような構成によって課題を解決します。
- エンジン回転数の領域分け:エンジンの回転数は車速に応じて異なる複数の「回転数領域」に設定されており、車速が高いほど高い回転数領域に設定されます。加速時と減速時には、それぞれの条件に応じて回転数の切り替え基準が異なり、特に減速時にはより低速になるまで回転数が切り替わらないように制御します。
- バッテリの状態に基づく制御:バッテリの充電状態(SOC)が低い場合やバッテリ温度が低い場合には、早期に排気触媒を暖機状態にするため、より低い車速からエンジンを高回転数に切り替え、効率よく発電できる状態を作ります。
- 加速時・減速時の回転数切り替え抑制:加速と減速が繰り返されるシーンでは、エンジンの回転数が頻繁に切り替わることを防ぐため、特定の条件下では回転数を維持する制御を行います。これにより、加速や減速が繰り返されてもエンジン音の変動が少なく、運転者に違和感を与えにくくなります。
- 触媒暖機の効率化:バッテリの状態や車速に応じて、排気触媒が素早く暖機されるようにエンジンの作動を最適化します。これにより、排気ガスの浄化性能が向上し、効率的な発電が可能になります。
このようなシステムにより、減速時や加速時でもスムーズな運転感覚を維持しながら、触媒の暖機制御を行うことができます。
効果
この制御により、エンジン回転数の切り替え頻度が低減され、運転者に違和感を与えにくくなります。また、触媒を早期に暖機することで、排気ガス浄化性能が向上し、バッテリの適切な充電状態も早期に実現できます。
関連特許
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