マツダは、車両用エアバッグの展開速度を安定的に制御する新しい特許を取得しました。この技術により、エアバッグの膨張展開時の速度がより正確にコントロールされ、乗員の安全性が一層向上します。
マツダ、車両用エアバッグの安定展開制御特許を取得
特許7528417 車両用エアバッグ
背景
本発明は、車両用エアバッグ、特にテザーの構造に関するものです。従来から、車両には運転席や助手席、さらには後席用にエアバッグが設けられています。中でも、緊急時の膨張展開時に領域ごとの展開速度をコントロールするためにテザー用基布が設けられたものが存在します。特許文献1に示される車両用エアバッグでは、テザー用基布にステッチが施され、引張力に応じてステッチが破断することで展開速度のコントロールが行われています。
課題
しかしながら、特許文献1に示された技術では、エアバッグ展開時に基布表面が波打ち、展開速度が不安定になる問題があります。これは、ステッチが基布表面の波打ち状態で破断するためです。そのため、展開速度の安定したコントロールが求められており、この課題を解決するための新たな技術が必要とされています。
解決手段
本発明は、エアバッグの膨張展開時に展開速度を安定してコントロールするための新たなテザー用基布を提供します。この基布は、袋体の前方側エアバッグパネルと後方側エアバッグパネルに接続される複数の基部と、基部間に挟まれた切剥がし部を有します。基部と切剥がし部の間には破断線が形成されており、エアバッグ膨張時に引張力が破断線に沿って作用することで、切剥がし部が破断し、テザー長が伸長される構造になっています。
効果
本発明に係る車両用エアバッグは、エアバッグ膨張時の展開速度を安定してコントロールすることができます。これは、引張力が破断線に沿って作用するため、基部から切剥がし部を安定して破断させることができるからです。また、破断線をステッチで構成することで、簡易な構成でありながら高い制御性を実現しています。さらに、複数のテザー用基布を重ねることで、荷重を高くし、より高度な展開速度のコントロールが可能となります。