真冬になり外気温がエンジンにとって厳しくなっていることもあり、SKYACTIV-Xの熱管理についてマツダ技報を調べてみました。
SKYACTIV-Xの熱マネージメント
マツダ技報No.36から「SKYACTIV-X用熱マネージメント技術」を確認しました。ここでは、事細かく書かれているので、大雑把にまとめてみます。
SKYACTIV-Xの熱をマネージメントする技術について、次の4つを挙げています。
- 暖機後に燃費のよくなる適温を下げる
- その適温までのエンジン各部の温度や油水温を短時間で上昇させる
- エンジン停止後の温度低下(放熱)を抑制させる
- 駐車後の再始動時のエンジン各部の温度を従来よりも高い状態から運転できるようにする
マネージメント技術の具体策
その技術を具体的に3つの方法で実現しています。
1.適温を下げる(オイルの低粘度対応)
マツダがオーナーズマニュアルで推奨ているエンジンオイルのグレードは、「SAE 0W-20」です。オートマチックトランスミッションフルードは「ATF A7」です。
2.水流制御
3と4.エンジンカプセル化
エンジンのカプセル化については、いくつかのメディアでも書かれていましたが、エンジンに直にウレタン材をカバー率60%で貼っているとは思いませんでした。
また、次のようにも書かれていまいた。こういう制御をしているから車内がすぐに暖まったみたいです。試乗した時にすぐに暑くなったので気になっていました。
お客様が快適に運転していただくためには、車室内の快適性は重要である。快適性を最少のエネルギーで実現し、早期暖機にエネルギーを使えるようにすることにも、取り組んでいる。まず、冬場の運転時は、暖房性能が必要となるため、エンジンの発熱量をエバポレータという熱交換器を通して、室内に熱を供給している。これは、冬場の早期暖機にとっては大きな外乱である。このため、暖房使用時の必要熱量を減らすことで、エンジンの暖機性は改善される。今回、冬場に車室内に乗り込んだお客様が、暖房の効きを人として感じるまでの時間とヒーター回路に通水するタイミングを合わせることで、暖房要求があっても、エンジン内の水温がお客様に温かさを感じてもらえるまで上昇してからヒーター回路に通水を始めて、エンジンの暖機と快適性を両立させている。これには、前述したヒーター回路への通水量コントロールだけでなく、前モデルのハーフタイプから今回のフルタイプに変更したAASも活用している。フルタイプのAASは、ラジエター前に設置された可動式のフラッパー構造となっており、全閉にすることで冬場の走行中の冷たい走行風が、エンジンルーム内へ流入するのを抑え、エンジン構造体や配管等からの放熱を抑制させることにつなげている。更に加えて、後述のカプセル化技術による再始動時のエンジン水温を高くすることでの昇温の早期化と合わせ、車両全体での熱を無駄にしない取り組みが空調性能との両立に貢献している。