J.D. Powerの「E-Vision Intelligence Report」によると、プラグインハイブリッド車(PHEV)はメーカーからの期待とは裏腹に、市場でのシェアが依然として伸び悩んでいます。消費者はEVや通常のハイブリッド車(HEV)に魅力を感じ、PHEVの価値を見出せていない現状が浮き彫りとなりました。
PHEVのパラドックス。メーカーは支持するも、消費者は冷淡
PHEV市場シェアの低迷
報告によると、2024年8月時点でPHEVの市場シェアは全体の1.9%にとどまりました。一方、BEV(バッテリー電気自動車)は9.4%、HEVは10.7%のシェアを記録しています。現在、米国市場では41のPHEVモデルが展開されていますが、HEVは39モデル、BEVは60モデルでPHEVを上回る選択肢が用意されています。
高価格が購買意欲を阻害
PHEVは充電なしで走行できるメリットを持つ一方で、コンパクトSUVカテゴリの平均取引価格(CFTP)は48,700ドルと、HEV(37,700ドル)やBEV(36,900ドル)よりも高くなっています。これにより、消費者はPHEVに対してコストパフォーマンスを疑問視する声が高まっています。
顧客満足度の課題
J.D. Powerの調査によれば、PHEVの顧客満足度は1,000点満点中669点で、BEV(716点、プレミアムBEVは738点)よりも低い評価となっています。特に、PHEVは燃料と電力の2系統の維持費が必要なため、運用コストが高くなることが消費者の不満を生んでいるとの指摘があります。
EV移行の橋渡しとしてのPHEV
メーカーはPHEVをEV移行の橋渡しと位置付けていますが、消費者はPHEVが本当に「最良の選択肢」かどうかに疑問を感じています。車両のスタイルが従来のガソリン車と大差なく、価格も高いため、消費者の関心を引くには至っていないのが現状です。