J.D. パワーは、2023年日本EV検討意向(EVC)調査の結果を発表しています。EVのみの購入を検討するのは僅か4%でした。
J.D. パワー、2023年日本EV検討意向(EVC)調査結果を発表
今後1年以内に新車購入を検討する人を対象に、EV(BEV:バッテリー式電気自動車に限定)の購入検討有無やEVに対する意識などを聴取し、消費者のEVに対する認識や考え方を明らかにするものである。EVに特化したJ.D. パワー調査は、国内では初の実施となる。
2023年日本EV検討意向(EVC)調査
1年以内に新車購入予定の人を対象に、EVの購入検討意向について聴取し、EV市場の普及に向けた課題や拡大へのキーファクターを探る調査。
- 実施期間:2023年9月
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:今後1年以内に新車購入を検討する、18~74歳までの一般消費者
- 調査回答者数:6,000人
調査結果の概要
新車の購入検討者の2人に1人がEVを検討、うちEVのみを検討する人は4%
- 今後1年以内に新車購入を検討する消費者の50%が「EVを検討する」と回答
- 46%は、EV以外の車も同時に検討しており、EVのみを検討する人はわずか4%
電動車ユーザーほどEV検討率が上昇
現保有車の電動化度合いが上がるほど、次回購入車にEVを検討する率が高まることが分かった。
都会居住者と高所得層のEV検討率が高い
全国8地域のEV検討者を見ると、関東が56%、東京23区では66%と高く、都市居住者のEV検討が目立つ。世帯年収が高いほどEV検討率が上昇し、年収600万円以上で検討率が非検討比を超える。関東・東京23区の高収入世帯比率が全国平均を上回り、EV検討率の一因となっている。
現所有車の走行距離、EV検討/非検討の分岐点に
EV検討者は月間平均880km、非検討者は973kmを走行し、「満充電当たりの航続距離」がEV検討の障壁であることが示された。関東住民の平均走行距離は811kmで全国最少、他地域に比べEVの航続距離が障壁となりにくい。対照的に四国、中部、中国地域では走行距離が全国平均を上回り、EV検討率が低い。これは現行EVの航続距離に対するヘビーユーザーの不安が影響している。
「自宅外での充電」を許容する
EV検討率は30-40代男性が高く、30代で63%、40代で54%であり、年代が上がると検討度合いが低下する。興味深い点は、EV検討者の約70%が充電場所を「自宅以外」と想定していることで、特に若年層ではその傾向が強い(18-29歳:81%、30代:72%、40代:65%、50代:59%)。これは多くの人が「充電ステーションの充実」をEV検討の理由に挙げており、自宅や近隣の駐車場に充電設備がなくても他所での充電を考えていることを示している。
EV検討者が想定する充電ライフ、現実とのギャップを埋められるか
「ガソリンスタンド(15%)」が自宅以外のメイン充電場所として最も支持されている。しかし、主要なEVモデルの現行充電スペックでは、普通充電器の利用では長時間充電が避けられず、EV検討者の充電期待と現実にはギャップがある。ガソリンスタンドの拠点数が減少している中、立地の良さは強みであり、石油元売り各社はEV社会への対策を進めている。EV社会の牽引役である行政府も、既存インフラを活用した充電インフラの構築に向けてアイデアが期待される。
J.D. パワーのコメント
リサーチ部門シニアマネージャーのコメントを箇条書きでまとめました。
- 国産登録車を中心にEVモデルの選択肢が拡大
- 買い替え予定者の半数がEVを検討、EVが幅広い年代に受け入れられている
- EVのみを検討する人は少数派、EVと非EVの両方を検討する人の選択が市場占有率に影響
- ICE車の保有率は高いが、電動車への移行傾向あり
- 2035年の全新車電動化目標、現実的な可能性あり
- 航続距離の問題は地方居住者にとって課題だが、都会のライトユーザーに潜在需要
- 充電インフラについて、EV検討者は自宅充電に固執せず
- 自宅充電の重要性は変わらず、公共充電の拡充がEV普及の鍵
2023年日本EV検討意向(EVC)調査 | J.D. Power
「充電インフラが整った都会の富裕層でしかないBEV」みたいな書き方ですか?! そして、まだまだ地方での使用法にはマッチしていないよと…。BEVの購入を検討しているのに自宅充電に重きをおいていないのは、意外です。
充電インフラが未整備な上に、選択肢やスペックが足りていない中、無理してBEVにすることはないかな、というのが今の私のスタンスです。それこそ、カーボンニュートラル燃料の普及で大きく変わりますからね。